プレミアムカバーがきれいだったのでつい買ってしまった「ティファニーで朝食を」(トルーマン・カポーティ著)。
オードリー・ヘプバーンの映画が有名だけど、見たことがなかった。今回本を読んでから映画も見たんだけど、映画と原作ではストーリーもかなり違っていて、原作にはほとんどないロマンスが映画にはバッチリ入ってたし、主役のホリーのキャラもちょっと違うなぁという感じだったのだけど、それなりに面白かった。
ただトルーマン・カポーティとしては「こんなんちゃう」って思ったかも。
以下かなりざっとした、しかもネタバレになるあらすじ:
主役のホリーは幼いころに極度の貧困生活を強いられ、盗みに入った家の男性に14歳にして妻にされる。その後男性のもとから逃げ出し、新人女優としてニューヨークの社交界を持ち前の魅力とどん欲さで生き抜いていたのだけど、麻薬がらみの事件に巻き込まれてニューヨークにいられなくなり、ブラジルに逃亡する。
そこに物語の語り手である「僕」、ニューヨークの社交界、唯一の家族と言っていい兄のフレッド、彼女の恋のお相手であるホセとのつながりが描かれる。
とにかくホリーは複雑なキャラクターで、少女のように夢見がちなところもあれば、とても19歳とは思えない大胆なところもあり、プライドが高い一方、お金に対する執着を隠さないところもある。この人どういう人なんだろう?ってのが、最後までつかめなかった。
周りにいると確実に振り回されるから、わたしとしてはお付き合いを避けたいタイプ。でもこのとらえどころのなさが男の人には魅力なんだと思う。
いずれにしてもホリーの生まれ育った環境を思うと、彼女には幸せになってもらいたいけど、そうはならないんだろうなぁという切なさが残る読後であった。
この本にはあと3作短編が収録されていて、わたしとしては最後の「クリスマスの思い出」がお気に入り。これまた少し切ない話ではあるものの、クリスマスの準備をする様子がとても素敵に描かれていて、ここまでできなくても何か今年のクリスマスは特別なことがしたいなぁって思ってしまった。
今年のプレミアムカバーはほかにも欲しい本があり、購入を検討中。
娘がさくらももこさんの「さくらえび」を買ってきたので、それも読むのが楽しみだ。