思いつくままに日暮らし

とりあえず始めて何も決まっていません。思いついたことをあれこれ書いていく予定です。

スタインベック短編集


寒さのぶり返しに身が縮こまる日々。
ついつい前かがみで姿勢悪く歩いていると周りの景色も目に入らない。しかし車を運転していて信号で停車中に道沿いの桃の花(多分、花には本当に疎くて…)がほころんでいるのが目に入り、わぁ!と少し明るい気持ちになる。
春はもうそこまで来てる!

 

最近はスタインベックの短編集を読んでいる。
わたしは基本的に短編が好き。長編を読むのは気合がいるし、時間もかかる。
短編は長編と違って、尻切れトンボになりがちで「?」な話も多いけど、そこが好き。これってどういう話だったのかなぁと考えるのが面白い。

 

この短編集も「?」な話が多くて、「ちょっと意味が分からない」と思うものもあるけど、その何とも言えない中途半端さがいいよね。

 

今回読んだ短編集には全部で13篇の短編が収録されていた。タイトルもずばり「スタインベック短編集」とシンプル。特に表題作もない。

スタインベックの「怒りの葡萄」と「エデンの東」は昔読んだことがあって、こちらは大長編なのだけど(若い時は長編ばかり読んでた)、とっても感動した記憶があって、にも関わらず内容はあまり記憶がない。
また機会があれば(多分ない)読んでみたい気持ちはあるけど、あの長編を読む体力はもうないかも…。

というわけで(?)、今回はこの中から二つほど感想を書いてみようと思う。

 

『菊』
農場生活を送りながら花づくりに生きがいを見出している女性のところに行商の男が通りかかる。男は鍋の修理や刃物研ぎを生業としている。二人は女性が育てている「菊」のことで盛り上がる…。

 

このお話は読んでいる途中で展開が見えてしまう。そしてそうはなりませんようにと思うんだけど、そうなってしまうという…。女性の一瞬の高揚とそれに冷や水を浴びせるような出来事。
こういうことってあるよね~って、ちょっと悲しい気持ちにさせられるけど、まぁそれも人生やなぁと思わされる話。

 

『蛇』

研究所で実験をしている博士のもとへ女性が「蛇を売ってほしい」とやってくる。彼は毒の採取のために飼っているガラガラヘビを売ってやることにする。女は蛇にしか興味がなく、博士の実験にはまったく興味を示さない…。

 

これは、けっこう不気味な話だった。博士の研究所にやってくる人はたいてい実験や顕微鏡を覗くことに興味があるのに、女はそれらに興味がない。そして蛇がねずみを食べるところが見たいと言う。実験のためには平気で動物を殺める博士もなぜか女の要求には抵抗を覚える。

ただただ蛇がねずみを食べるところを見たいという女…しかもその蛇を自分のものにしたいという謎の欲求。
博士も女といて気分が悪くなってるのに、なぜか最後に「コーヒーでもいかがですか?」とか勧めるところも謎。わたしなら一刻も早く帰ってもらいたいわ。

なかなか意味不明な話だったけど、いろいろ考えが膨らんで面白かった。

 

相変わらずつたない感想ですが、お付き合いくださりありがとうございました!