思いつくままに日暮らし

とりあえず始めて何も決まっていません。思いついたことをあれこれ書いていく予定です。

言っちゃおしまい

今週のお題「ほろ苦い思い出」

ほろ苦い思い出…というと恋愛がらみの素敵な思い出でもあればいいのだけど、あいにく人様に語って聞かせるような素敵な思い出が思い出せない。
何かあったと思いたいけど、そもそもがあまり恋愛体質ではなく、学生の頃からバレンタインで騒いでる友達を横目に見てるタイプだった。

人生で3度はあるというモテ期。


2度は自覚がある。一度目は幼稚園の頃。自分で言うのもなんだけど、幼いころはニコニコ笑顔の愛らしい女の子だったので、母曰く「いつも男の子と一緒だった」らしい。
まぁ、兄にくっついて遊んでいたのでその影響もあると思う。

2度目は社会人になって最初の数年。
若い女の子って誰しもちやほやされるものだと思うけど、わたしもちやほやしてもらった。

3度目はまだ来ていない。もしかして老人ホーム(って今は言わない?)に入った暁に来るのだろうか?

 

…とほろ苦い思い出はどうなってん?と言われそうだけど、わたしのほろ苦い思い出はある女性との友情が壊れた話。

 

彼女はわたしが社会人になって4年目頃に出会った。わたしの働いていた職場に彼女がアルバイトとして入ってきたのだった。
彼女はわたしより一回りほど年上だったけどなぜか気が合って、よく二人で飲みに出かけた。彼女はお酒が強くて、もっぱら飲む専門。だからお料理のほうは「食べ食べ」と言ってわたしに勧めてくることが多かった。(わたしが若いからというのもあったかも)

 

あまり食べないにも関わらず「美味しいもん食い」で、今じゃとても行けないような和食のお店にも二人で何度か行った。おまけにとっても気前のいい性格で、とにかくおごりたがる。とはいえ高い時は一人2万円のお会計になることもあったので、さすがにまるまるおごってもらうことはなかったけど、いつも余分に出してくれた。

 

わたしには姉がいなかったので、彼女はわたしにとって「お姉ちゃん」みたいな存在だった。当時わたしは結婚したばかりでまだ子供はいなくて、彼女のほうも結婚10年ほどたっていたけどお子さんはいなかった。
「できなかった」のか「欲しくなかった」のか。その点はよく分からなかった。
こちらから聞くことはできないし、本人もはっきりとは言わなかった。ただ、彼女から不妊治療の話などを聞いたことがなかったので、どちらかと言えば「生まない」選択をしたんだろうなと思っていた。

 

そんな風に4~5年たったある年、わたしは妊娠した。彼女はとても喜んでくれて「わたし、おばあちゃんになるからな」と言ってくれた。それからはわたし以上のはしゃぎようで、本当に生まれてくる子が自分の孫でもあるかのようだった。
その気持ちは嬉しかったけど、負担でもあった。わたし自身は子供が生まれるのは楽しみであると同時に不安もあった。実母は亡くなって父も再婚していたし、義両親も頼れないことは分かっていた。一人で育児をすることに対する漠然とした不安があった。
出産そのものも怖かった。だから彼女がただただ赤ちゃんが生まれてくるのを楽しみにしているのがなんだか能天気に思えて、ついイライラして言ってしまった。

「そんなに子供が好きなら、なんで生まへんかったん?」

 

なんて無神経なことを言ってしまったんだろうと思う。言った瞬間に『言ってはいけないことを言ってしまった』と思ったけど、もうどうにもならない。
彼女は明らかに傷ついていた。

その後も彼女は普通に接してくれた。でも、以前のような親しさが二人から失われたのは明らかだった。

 

たった一言が何年もの友情をぶち壊してしまった。
わたしにとって初めての年上の友達はこうして去っていった。その後出産を機に退職したわたしは彼女と個人的に会うことはなかった。

以前の職場のメンバーが飲み会をするから「育児の気晴らしにおいで」と言って誘ってくれた飲み会に参加した時も、「お子さんどうや?」と聞いてくれたけど、やっぱり以前のような近しさはなかった。
そうだよなぁと思いつつ悲しかった。

ほろ苦いどころか、かなり苦み走った思い出だけど一つ教訓も与えてくれた。
当たり前のことだけど、「それを言っちゃおしまいよ」なことは言わないこと。言ったことが当たってるかどうかは関係ない。やっぱり言っちゃいけないことはある。

以来子育てでは気を付けてやってきた。言葉一つで失ってしまう人間関係。親子だからといって遠慮なくズケズケ言い過ぎないようにしている。
子どもたちにはこのエピソードは話せていないけど(コンプラの厳しいご時世に慣れている子供たちに聞かせたらわたしの人間性疑われちゃう💦)「一回の失言で人間関係失うから気をつけて」と言っている。(どの口が?)

まあこれも親心ということで言わせてもらおう。